従来の自毛植毛は、医師が手作業で毛根を採取し、薄毛部分に移植するため、時間や手間がかかる上に技術の熟練度が仕上がりを左右していました。
しかし近年、「ロボット」や「AI」の力を活用した自毛植毛システムが登場し、施術の精度・スピードを大幅に向上させています。
本記事では、代表的なロボット植毛システムとして知られる「ARTAS」「NeoGraft」の概要や特徴、メリット・デメリット、費用相場、導入状況などを詳しく解説します。
最先端技術がもたらす新しい植毛の形を、ぜひご覧ください。
目次
- ロボット植毛とは?AIを活用した最新技術
- 代表的なシステム:ARTAS・NeoGraftの特徴
- ロボット植毛のメリット
- ロボット植毛のデメリット・注意点
- 費用相場や日本での導入状況
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
ロボット植毛とは?AIを活用した最新技術
ロボット植毛とは、ロボットアームやAIアルゴリズムを用いて、自毛植毛をより正確かつ効率的に行う技術です。
最も普及が進んでいる方法がFUE法(Follicular Unit Extraction)で、ドナー部位(主に後頭部)から毛根(グラフト)を1本ずつ採取・移植するスタイルが中心。ここにロボットが加わることで、「より正確」「より早い」施術が期待されています。
代表的なシステム:ARTAS・NeoGraftの特徴
1. ARTAS(アルタス)
ARTASは、アメリカのRestoration Robotics社が開発した医療用ロボットシステムです。
高精度なカメラとAIアルゴリズムを搭載しており、毛髪の角度・方向をリアルタイムに解析しながら、自動でグラフトをくり抜いて採取するのが特徴です。
- 毛根の深さ・角度などを自動補正し、医師の手作業と比べて均一で正確な採取が可能
- 作業スピードが速く、施術時間を短縮できる
- 医師はロボットの動きを監視し、必要に応じて微調整を行う
2. NeoGraft(ネオグラフト)
NeoGraftは、FUE法の工程を吸引式の採取システムでサポートする機械。
ロボットアームほどの自動化ではありませんが、負圧を利用して素早くグラフトを抜き取る機能を備えており、医師の技術的負担を軽減します。
- 吸引で毛根を取り出すため、抜き取り時の物理的なダメージを最小限に抑えやすい
- 医師の手作業に比べて時間短縮が可能
- ARTASほどのロボット的な完全自動制御ではなく、医師の熟練度も必要
ロボット植毛のメリット
1. 正確性の向上
AIやロボットアームによる角度・深さの制御が可能なため、毛根を痛めるリスクが減り、採取したグラフトの定着率が向上しやすいといわれています。
従来の手作業に比べて、医師の技術のばらつきの影響を受けにくいのもポイントです。
2. 施術時間の短縮
人の手で1本ずつ慎重にグラフトを採取する作業は非常に時間がかかります。ロボットや専用の機器がサポートすることで、採取スピードが格段に上がるため、患者の負担も軽減できます。
3. ダメージの少ないFUE法がベース
ロボット植毛はFUE法を前提としていることが多く、大きく頭皮を切り取る必要がありません。
傷跡が目立ちにくい・ダウンタイムが短いなどのメリットはそのままに、ロボットの精密性を加えた改良版と言えます。
ロボット植毛のデメリット・注意点
1. 高コスト
ロボット植毛には、高価な機器導入費とメンテナンスコストがかかるため、施術費用がやや高めに設定されているクリニックが多いです。
一般的な自毛植毛よりも総額が高くなる可能性があるので、事前の料金確認が重要です。
2. 限定的な導入クリニック
日本国内を含め、ロボット植毛システムを導入しているクリニックはまだ限られています。
また、医師・スタッフが機器の操作スキルや経験を積む必要があり、導入初期段階では安定した施術体制が整っていない場合もあります。
3. 全自動ではない
たとえばARTASは自動化が進んでいるとはいえ、完全に医師の関与なしで行えるわけではありません。
データをもとにロボットが提案した施術計画や採取時の角度などを、医師がチェックし、調整・管理するステップが欠かせません。
費用相場や日本での導入状況
1. 費用相場
ロボット植毛の費用は、1グラフトあたりの単価が1,000円〜1,500円程度とされることが多いです。
普通のFUE法よりもやや高めの設定で、施術箇所のグラフト数によって総額が数十万円〜100万円超になるケースもあります。
クリニックや施術内容により差があるため、カウンセリングで必ず見積もりを確認してください。
2. 日本での導入状況
- ARTASは大都市圏を中心に、導入している美容外科や専門クリニックが増えつつある
- NeoGraftも一部クリニックで採用されており、こちらは比較的システムの小型化・操作性のハードルが低い
- 導入しているクリニック数自体はまだ多くなく、予約が取りづらい場合も
また、症例数が多いクリニックほど、医師やスタッフがロボット植毛のノウハウを蓄積している可能性が高いので、口コミや実績も参考にしましょう。
よくある質問(FAQ)
- Q1. 手作業のFUEとロボット植毛、どちらが良いですか?
- A. どちらにも一長一短があります。
・ロボット植毛:精度やスピードが高いが、費用が高め
・手作業FUE:医師の熟練度に左右されるが、クリニックの選択肢が広い
それぞれのクリニックでカウンセリングを受け、自分に合った施術を選びましょう。 - Q2. ロボット植毛は痛みや傷跡が少ないですか?
- A. 基本はFUE法なので、切開が不要で傷跡も点状にとどまります。ただし、痛みやダウンタイムには個人差があるので、医師の説明やアフターケアの指導に従ってください。
- Q3. ロボット植毛後、どのくらいで髪が生えてきますか?
- A. 一般的な自毛植毛と同様に、3〜6カ月後から徐々に生え始め、1年程度で目立った変化を感じられます。これは個々のヘアサイクルによっても異なります。
- Q4. 女性でもロボット植毛は受けられますか?
- A. 女性でも原則受けられますが、髪を短くカットしなければならない場合が多いため、事前に医師との相談が必要です。女性特有の薄毛に対応しているクリニックを選ぶと安心です。
まとめ
ロボットやAI技術を用いた自毛植毛は、施術の精度・スピードを飛躍的に高め、従来のFUE法の弱点を補う画期的な方法として注目されています。
特にARTASとNeoGraftは世界的にも実績が増えており、日本でも徐々に導入が進んでいる段階です。
ただし、導入コストの高さや熟練した医療スタッフが必要な点など、課題があるのも事実。施術を検討する際は、費用やクリニックの経験・口コミを十分に確認し、自分に最適な方法を選ぶことが大切です。
頭皮への負担が少ないFUE法をさらに進化させたロボット植毛が、今後さらに広がっていけば、多くの薄毛に悩む方にとって大きな助けとなるでしょう。
【免責事項】
本記事は一般的な情報提供を目的とし、医学的アドバイスを行うものではありません。
実際に施術を受ける場合は、必ず医師やクリニックでのカウンセリングを受け、自分の症状や体質に合わせた判断をしてください。