この記事でわかること
- 更年期における薄毛・抜け毛の原因
- 更年期のホルモンバランスと髪への影響
- 自宅でできる対策や専門的な治療法
- よくある質問(FAQ)とその答え
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更年期とは?女性ホルモンの変化
更年期の定義
- 更年期とは、一般的に閉経前後の約10年間(45歳~55歳前後)を指します。
- 日本人女性の平均閉経年齢は約50歳と言われており、その前後5年ずつ程度を目安に体や心のさまざまな不調が起こることが多いとされています。
女性ホルモンの変化
- 更年期になると、卵巣機能が衰えエストロゲン(女性ホルモン)の分泌量が急激に減少します。
- エストロゲンは髪の成長やツヤ、ハリを保つのに関与しており、その減少により抜け毛や髪質の変化が起こりやすくなります。
更年期に薄毛が進む理由
1. ホルモンバランスの乱れ
- エストロゲンの減少により、髪の成長を促す力が弱まる一方、男性ホルモン(アンドロゲン)の相対的な比率が高くなります。
- 女性でも少量の男性ホルモンは分泌されており、更年期には**FAGA(女性男性型脱毛症)**と呼ばれる薄毛が起こることがあります。
2. ストレス・自律神経の乱れ
- 更年期にはホルモン変動による情緒不安定やストレスが増えやすく、自律神経が乱れる傾向があります。
- ストレスや睡眠不足が続くと、頭皮の血行不良や栄養不足により、抜け毛や薄毛が進行しやすくなります。
3. 加齢による毛母細胞の活性低下
- 年齢を重ねると、毛母細胞や毛包の活動も低下していきます。
- 更年期のホルモンバランスの乱れと相まって、抜け毛量が増え、髪が細くなることが目立ちやすくなります。
更年期にみられる薄毛の特徴
- 分け目や頭頂部のボリュームダウン
- 前頭部よりも**頭頂部(つむじ周辺)**が薄くなりやすいのが特徴。
- 髪が細く、ハリ・コシがなくなる
- 毛一本あたりの太さが細くなることで、全体のボリュームが減ったように見える。
- 抜け毛が増えるだけでなく、生え変わりサイクルが乱れる
- 成長期が短くなり、休止期が長くなるため、全体の髪の量が徐々に減少していく。
薄毛を進行させないための生活習慣・セルフケア
1. バランスの良い食事
- たんぱく質(肉・魚・大豆製品など)をしっかり摂取し、髪の主成分であるケラチンの生成をサポート。
- 亜鉛やビタミンB群、鉄分なども髪の成長に重要。
2. 良質な睡眠とストレスケア
- 夜22時~深夜2時は成長ホルモンの分泌が活発になる時間帯とされるため、早めの就寝を心がける。
- ヨガやウォーキング、趣味などでストレスをコントロールし、自律神経の安定を図る。
3. 適度な運動と頭皮マッサージ
- 有酸素運動や軽い筋トレで血行促進を狙う。
- シャンプー時などに指の腹で頭皮マッサージを行い、頭皮環境を整える。
4. ヘアケア製品の見直し
- 髪と頭皮にやさしいアミノ酸系シャンプーやスカルプシャンプーを使用。
- ドライヤーは低温・適切な距離で当て、摩擦や熱ダメージを最小限にする。
医療機関での治療法・検査
1. AGAクリニック・皮膚科の受診
- 女性の薄毛(FAGAなど)に対応しているクリニックや皮膚科を受診し、頭皮の状態やホルモンバランスをチェックしてもらう。
- 必要に応じて血液検査などを実施し、貧血や甲状腺機能異常など、他の要因がないか調べる。
2. 投薬治療(内服薬・外用薬)
- 女性向け内服薬(スピロノラクトンなど)の処方や、外用薬(ミノキシジルなど)を使用する場合がある。
- ミノキシジル製剤(外用)は、FAGAに対して一定の効果を示すとの報告があります。
- ただし、妊娠可能性がある場合などは薬の選択肢が制限されることもあるので、必ず医師の診断を受ける。
3. 育毛メソセラピーや低出力レーザー治療
- 医療機関で行われる頭皮への育毛成分注入(メソセラピー)や、低出力レーザー照射による治療も選択肢の一つ。
- ただし、保険適用外が多いため、費用や通院頻度を確認してから検討する。
よくある質問(FAQ)
- Q. 更年期の薄毛は一時的なもの?それとも進行し続けるの?
- A. 個人差がありますが、エストロゲンの減少に伴う薄毛は加齢とともに徐々に進行する場合が多いです。ただし、適切なケアや治療を行うことで、進行を遅らせたり髪質を改善することは可能です。
- Q. 女性用の育毛剤は効果がありますか?
- A. 女性用育毛剤にも、血行促進成分や保湿成分などが含まれており、一定の効果が期待できます。特にミノキシジル配合の医薬品は発毛効果を認められているため、医師や薬剤師に相談しながら使用するのがおすすめです。
- Q. ホルモン補充療法(HRT)を受ければ薄毛は治りますか?
- A. ホルモン補充療法で**更年期症状(のぼせ、ほてり、イライラなど)**の緩和は期待できますが、薄毛に対して直接的に大きな改善をもたらすかは個人差があります。治療のメリット・デメリットを含め、専門医と相談するとよいでしょう。
- Q. カラーリングやパーマは薄毛を悪化させますか?
- A. 過度なカラーリングやパーマは頭皮や毛髪にダメージを与える可能性がありますが、適切な頻度・施術方法を守り、アフターケアをきちんと行うことでリスクは軽減できます。頭皮に刺激を感じる場合は早めに専門家に相談しましょう。
まとめ
- 更年期の薄毛は、エストロゲンの減少をはじめとするホルモンバランスの乱れや、ストレス、自律神経の乱れなど複合的な要因で起こりやすいです。
- 食事や睡眠、ストレスケア、頭皮マッサージなどのセルフケアを行いつつ、必要に応じて専門医の診断を受けることが大切です。
- 早めに対策を始めることで進行を抑えたり、髪質を改善できる可能性がありますので、「最近ボリュームが減ってきたかも…」と感じたら、一度医療機関で相談してみましょう。